わたしは、上手におねだりが出来ない。
高いブランド物を「欲しいな〜っ」とか「買って♡!!」みたいに上目遣いで腕を絡ませるような女子が羨ましいなぁ…と常々思っている。
「しょうがないな〜」という男子も満更でもない様子だ。
昔の彼氏にショッピングをしていて、可愛いな〜と手にとったアクセサリーを「買ってあげるよ」と軽い感じで言われた時には「え?!いいよ、いいよ」と断ったけど、パッとお金を渡されて「レジ並んでおいで」と言われた時は正直嬉しかった。
家は母子家庭で、小さい頃母はガッツリ働いていたけど、統合失調症になって、障害者年金っていう制度があるのをその当時誰も教えてくれなくて、パートをしてはクビ、パートをしてはクビを繰り返していた時期があった。
小学生のころ、流行っていた靴があってクラスの子たちはみんなその靴を履いていたけど、同じ靴が欲しいってお母さんに言えなかった。体操服のゼッケンもみんななまえを印刷してあるものをつけていたけど、私は手書きのゼッケンだった。高校の制服もみんなみたいにクリーニングに出して欲しかったけど、お母さんに言えなかった。
お金もないの解っていたし、お母さんの病状がそこまで気がまわらないことも解っていたし、甘えるとかワガママを言うとか迷惑をかけるとかそういうふうに生きてこなくて。
そしたら大人になっても当たり前のように私はそのままで。
彼氏とデートで川越に行った。小江戸川越。トイレにいった時、並んでいたおばさんが「モンブランのお店行った?」と話していて、私も寄りたいなと思った。ちょこちょこお店を流し見して、さぁ帰ろうかとなった帰り道にモンブランのお店を発見!
モンブランソフトクリームと旗がたっていてほそーい糸状のクリームがソフトクリームの上からかけられ、てっぺんに栗がちょこんと乗っている写真があった。
「いいな、たべたいな」わたし
「買ってくれば?待ってるから」彼氏
「たっくんいらないの?」わたし
「食べたくない」彼氏
「えー、、、どうしようかな」わたし
「食べればいいじゃん」彼氏
わたしはすごく、すごーく食べたかったんだよね。そのソフトクリーム。
なんだけどさ、今日下の息子の高校の施設費だか管理費だかで6万円振り込んできまして、手取16万円のパートシングルマザーアパート住まいは月4万の食費で組んで8日で一万円の目標で日々戦っているわけですよ。毎日風呂からバケツで洗濯機に水くんで往復している身なんです。それでも赤字で貯金を崩しているんです。
食べたいよ。でも500円が自分の為に出せないのよ。食べたいよ。でも計算じょうは後2日1500円で暮らす予定なの、私のプランでは。。。
買っておいでよって、500円をソフトクリームにパッと出せないのよわたしは。
「買ってあげようか?」て言って欲しかった。図々しいかなぁ。もしくは「食べたいから、たっくん買って♡」て言いたかった。でも言えなかった。
自分で自分の食べたいもの位買えるお金稼ぎたいなぁと思ったら、なんか情けなくてケチくさい自分も素直に甘えれなくて我慢しちゃう自分も。そしてまだ おいしそうだったなぁと思っている自分も。
帰ってきて玄関で涙が出てしまった。ちゃんと稼げるようになりたいな、やっぱり。
なんの迷いもなくモンブランソフトクリームを手にする私を想像したのでした。