貧乏神様

私は貧乏神様と仲が良い。

幼い頃は、母子家庭で育ち、しかも途中でおかんが統合失調症になって、病気のせいで次々に仕事がクビになっていた。

小学生ながら家計が心配で、おかんのパートの時給を時間で掛けて はたしてこのお金で足りているのか不安になり、おかんに「うちに貯金いくらあるの?」と真剣に聞いたくらいだ。

貧乏神様は結婚したあとも、私のことが相当好きだったらしい。旦那さんには月々7万円の結婚前からのローンがあり わたしはよくもらったジャガイモでコロッケばかり揚げていた。

貧乏神様は離婚したあとも、旦那さんのほうについていきゃーいいものの 私から離れがたかったらしく私を裏切ることなく着いてきた。

湯船のお湯を洗面器で汲んで頭を洗う、残り湯は洗濯機に使う。暗闇でドライヤーをかける。子供が入ったトイレの直後にトイレに入る時は 流さなくていい と言う。(1番人には言えない節約術)。電気のアンペアをさげすぎて レンジを使う時はブレーカーが落ちないように部屋の電気を消す、暗闇でチン。テレビはないし、掃除機もない。炊飯器もないし、トースターもないけど、魚焼きグリルでパンを焼く。冬は12月まで暖房器具にたよらず布団にくるまる。湯たんぽで、上の子が低温火傷

貧乏神様は、そんなうちの家庭を微笑ましく見守っていた。

1度、1ヶ月の電気代が二千円をきった月があり、あまりに嬉しくて職場の先輩に電気代の領収書を額にいれて飾ろうかとはなしたら「百均で額を買う100円がもったいないよ」と笑われ、なるほどと納得した。

貧乏神様は、今も変わらず私を好いてくれていて、私は今日もバケツで風呂の湯を汲み洗濯機と風呂を何度も往復し、ものすごい重ね着と重ね履きを駆使し、息子と1つのスリッパを奪い合い冬を越している。

 

ねぇ、神様まだ、私と一緒にいるつもりなの?

 

貧乏神様はにこにこしながらうなづいた。