自己判断の断薬 続き

昨日のモヤモヤした電話の後も、ずっとモヤモヤが晴れなかった。自己判断で断薬。思い浮かぶのは、あの時の別人になった たっくん。妄想バリバリで、私は疑われ決めつけられ怒鳴られて、逃げられて、突き飛ばされて、それでもしがみついて入院させたあの時。 また繰り返すつもりなの?恐怖でしかない。 

今日はクリニックの通院日。朝たっくんがいつも通り時間ぴったりに迎えにきてくれた。わたしは無理していつも通りの演技をしようとしたけど難しかった。        一晩置いた たっくんの気持ちを聞いたら「薬は飲みたくない」と言われた。    え?                 あれだけ私にいわれて、一晩置いてそれ?もうさ、別れるしかないのかなってよぎった。精神疾患の治療をいわば拒否してる人と今後も付き合っていく自信ないよ。  でも怒っちゃいけないと自分に言い聞かせる。頭ごなしはいけない。         「先生にも薬を飲んでなかった事、言いづらいから言いたくない」        「診察の時私も一緒に入ろうか?」     「いや、いい。言っても変わらないから」 そこからも、なんとか薬を変えたり量を調整したりを先生にお願いするように伝えるも「薬飲みたくない、必要ないよ」と渋いかお。                  たっくんはさ、自分のことをどう思ってるか分からないけど、飲み続ける事で安定していられるんだよ。躁鬱病の8割は再発するっていわれてるんだよ?再発してもいいの? 血圧高い人は血圧のくすり飲み続けるじゃん。私もアトピーで付き合っていかなきゃいけないから毎日保湿剤ぬったり時々ステロイドつかったりしてるよ。頭痛薬みたいに痛い時に飲めばいいってもんじゃないんだよ?

あの手この手じゃないけど、なんとかたっくんに分かってもらいたくて説明をするけど、私の話がカラカラカラカラまわってる。

「私、薬飲まないって言われたら…もう無理だよ?」

「仕方ないよね、、、」と首を傾げて言われた。仕方ない? え?

「それって自分の薬に対する考え方と私の考えが合わなくて、それが無理って私が思うなら別れても仕方ないって思ってるってこと?」返事がない。もう、 もうおだやかでいられなくなってきた。「たっくんには病識がないんだよ!たっくんにとっては、ちょっと具合悪くなって入院してミチに迷惑かけたってくらいにしか考えてないだろうけど!わたしが、わたしがあの時、どれだけ…」言葉のうえに感情が覆いかぶさって窒息しそうになる。のどが締まる。言葉が詰まる。

「具合が悪くなったら薬のめば、入院しないよ」 

このたっくんの言葉に血管がぶちりと切れたと同時に私は怒鳴っていた。 

「悪くなってからじゃおそいんだよ!ばか!!!!!あの時たった2週間で転がり落ちるように悪くなったじゃん!!!!!全然自分で気づいてなかったじゃん!!!                 自分でコントロールできなかったから入院したんでしょうがっ!!!!!」

大声で初めてたっくんを怒鳴りつけた。でもこれが1番言いたい事だった。演技も優しい言葉も無駄だった。

息を整えた後

「私だったら愛するひとに二度とあんな思いはさせたくないって思うけどね。」私の腹の下の方から引っ張ってきた言葉が震えて出た。

もう後は病院につくまで私は口を開かなかった。これで伝わらなければ、もうだめだ。別れがチラつく。あの入院を繰り返すことを私はもう負えない。自分の人生が犠牲になるのが見えている。消耗する前に別れなくちゃ自分が潰れる。通院と服薬が肝なのに。どうしたらいいんだろう、、、

病院についた。車内で静かにたっくんに聞いた。「薬飲まなかったこと先生に言うの?」                 「言う…」

診察の順番は私からだ。「あの、私の後に診察する人今お付き合いしている人なんです。でも出された2ヶ月薬を飲んでないみたいで。副作用のムズムズが辛いみたいなんです。」「具合が悪くなった時本当に大変だったんで、又そうなったらと思うと心配で。」私は保険をかけた。主治医の先生はたっくんと同じ先生だし、カルテをみれば解ってくれるはずだ。「私が相談したことは彼に言わないで下さい。」

私自信の診察は30秒くらいで終わった。変わりない。

交代して たっくんの番号が呼ばれる。ちゃんと伝えられただろうか。

会計が終わって車に戻る。たっくんからは何も話してこない。「私が聞かないと何にも教えてくれないの?お薬なんだって?」

「薬かえてくれた」            先生有難う!顔には出さない。     「飲むの?」             「飲む」

「もし、薬が合わなかったら?」     「先生に相談する。」          もう、たっくんが納得してるのか、どんな気持ちなのか全然わからなかったけど、とりあえず繋がった。なんだか自分が偉すぎて、出来すぎる彼女すぎて涙が出た。

「今日は家に帰るね。」自分の気持ちの切り替えに時間がかかりそうで今日のデートは止めた。アパートまでの帰り道私は何も喋れなかった。疲れた。