自己判断での断薬

何の気なしに、彼に「薬ちゃんと飲んでるる?」って聞いたら「のんでない」って返答があって、さっきまでのほんわかしたビデオ通話の空気がスッと引いた。さっきまで笑顔だった私の表情が追いつかず、こわばった笑顔が通話画面に写っている。

 

2ヶ月まえから眠剤以外の薬はのんでいない、ムズムズするのを主治医に言っても薬を変えてくれなかったから、と私が質問ぜめにして彼から聞いた理由だった。

なんで相談してくれなかったの?なんの為に通院してるの?聞かなかったらずっと言わないつもりだったの?一緒に通院してる意味わかってるの? 私がいる意味ってなに?           どんな質問をなげかけても うん。とか分からないとか彼の気持ちが1ミリも読み取れない返事ばかりでイライラしてきた。 あの夏のたっくんの入院から半年、穏やさを取り戻していたのに少し薄れていた躁状態の彼に振りわまされ疲れ切った記憶が頭のなかに呼び戻される。

退院してから彼が通院を辞めてしまわないように私が安定剤をもらっているクリニックに紹介状を書いてもらい 通院日も揃えて2人で受診していた。先月彼はどういう気持ちで飲まない薬を受け取って、「先生に何か言われた?」と聞く私に「別に」と答えていたんだろう。

躁鬱は薬を飲み続けないと再発する、再発を繰り返す度に悪化するって話たじゃない!精神科看護師あんた20年やってたでしょ、断薬して再入院してきた人沢山みてきたでしょ!じぶんはその人たちと別の人間なの?自分で診断ができるの?あんだけ症状があるとき自分の事は客観的にみれないってはなししたじゃん!又私にあの時と同じ思いさせたいの!? おかしいんじゃない。愛する人に心が潰れそうになるほどの心配を何度もかけたいのか!

もし私が聞かなかったら、薬を飲まなくなったことを先生にも私にもずっと話さなかったの?という質問に頷かれて、もうなんと言ったらいいか分からず脱力した。

私が大きな岩を投げてこられて必死で落とさないように守ろうと受け止めたことを、彼はポケットから豆が一粒落ちて私に拾ってもらった感覚なのだろうか。

総称すると なんなの?        すべてもう なんなの?         それしかなかった。

病と付き合っていく彼をなかば背負う覚悟でプロポーズをうけたのに治療放棄ですか。

お酒は3ヶ月くらい辞めて途中から主治医の許可が出て、1週間に1回量を決めてのんでいる。信用してたから最近はお酒を飲める日を「今日は飲める日だねー!何飲むの?「美味しかった?」なんて笑顔で飲める日を一緒に喜んでいたけど、お酒の約束も守ってくれているのか、それも疑いの気持ちがでてしまう、、、。

内服もお酒のことも退院した当初はしょっちゅう聞いてた。とくにお酒は1回で辞められないと思ってたから。「飲んでない?本当に?」って。お薬も「副作用大丈夫?」ってよく聞いてた。けど3ヶ月位たって彼も安定してたし、しつこく聞くのも信用してないみたいで嫌だなと思って、時々ちゃんとねれてる?くらいしか聞かなくなってた。

彼はだんまりだから、わたしがヒートアップして彼を責めることの繰り返すになってしまったから 一旦考えて明日また話そうと電話を切った。

…なんか    疲れた。