500円のバナナジュース

お金に対する価値観って人それぞれだなぁって思う。自分で働いたお金を自分で使うんだから、大きく逸れない限りどの感じ方や考え方も間違っていないと思う。

という前提で…。

わたしが務めるデイサービスでは外出活動が多い。ドライブなど車から利用者さんを降ろさない活動や、スタバのドライブースルーを利用したり、お昼ご飯のテイクアウト、スーパーで利用者さんと買い物、地域のお祭りに参加や、プール、外食、映画、時には1日外出でネズミーランドやアウトレットモールまで出掛けたりする。

例えば利用者さんと、スタバへいこう!活動のとき利用者さんはもちろん個々の財布から飲み物を買う。スタッフも買う。

もちろんスタッフの分は各々自腹だ。正直私はいらない。スタバの抹茶フラペチーノはたしかに好きだし飲みたいかと言われたら飲みたい。だけど、スタバの飲み物は高い。500円から600円位平気でする。    私以外のスタッフは何だか楽しげにメニューを選び飲み物を購入している。「斉木さんも買いますか?」若いスタッフの女の子が声をかけてくれた。         「いいや、わたしは水筒あるし」と答えた。家から持ってきた水筒には麦茶が入っている。               みんなが飲み物を買い終わり車に戻ると、先程私に声をかけてくれたスタッフが「斉木さん、これ」とスタバの飲み物を差し出してきた。「え?」私の分を買っていてくれたのだった。「いいよ、いいよ、悪いから」驚いて断るが「大丈夫です、買っちゃったので飲んで下さい!」と笑顔で飲み物を渡された。誰でも好き嫌いなさそうな甘いフラペチーノ系の飲み物を選んでくれていた。

「ごめんね、、、有難う、、」              

買ってくれたのは私より一回り以上若いスタッフだ。  … 困った。普段から優しい気配りの出来る娘だから、わたしが遠慮していると思って気を使ってくれたのだろう。わたしは嬉しいのか、恥ずかしいのか複雑な思いでそのフラペチーノを飲んだのだった。 だいぶ後になってからだが別の物で自分なりにお返しをした。

別の職員とスタバ活動になった時も、全く同じ事になってからは、もう欲しくなくても自分も何かしら頼み、自分でお金を払う事にした。それが1番楽だと分かった。みんなが飲んでいて一人だけ飲まないというのが許されないというか、可哀想な人になってしまうのだろう。 

毎回 500円あったらお肉1パック買えるなぁ…と思ってしまう。安いパート代でシングルマザーアパート暮らしには500円はでかい。8日で一万円、1ヶ月で4万円の食費を目標に家計簿をつけている。私にとって500円の価値はでかい。なんなら財布に500円入っていれば安心する。そういう感覚なのだ。いつも買い物は1つのスーパーにしぼって買い物をし、ポイントを貯めると1ヶ月に1回は500円のお買い物券がもらえる。それで少し値が張るカフェインレスのインスタントコーヒーを買って、幸せな気持ちになる。

 

今月は月初めに1日外出の仕事を頼まれて、お洒落なカフェで利用者さんとランチをして2000円位使ってしまった。さすがにお店で弁当を広げるわけにはいかない。そして今日は、お祭りにいこう!という活動で駅前に外出し、出先でバナナジュース屋さんでジュースを買おうと言う話になった。私は初めから「水筒があるから私はいらないから」と断った。さすがにパートをはじめてから1年は経つし、もう解ってくれるだろうと思っていた。

だけど、また   …また歳下の若い女の子が私の分のバナナジュースを買ってくれたのだった。困る私に、その子は「気にしないでください、ホントにいいんです。」と言ってくれる。

帰りの車で飲んだ500円のバナナジュースの味は良く分からなかったが、又やってしまったことは分かった。         他のスタッフがいないところで、無理矢理500円をその娘に渡し、「ごめんね、有難うね」というと「こっちこそ、なんかごめんなさい。」と泣きそうな顔をさせてしまった。

私はカフェでお茶するのが本当は大好きで、休日にたまにカフェにいって1000円位使うこともある。でもそれは自分にとってご褒美感覚だし、慣れた店のお気に入りの飲み物やランチ、そしてそのお店で過ごす時間にもお金を払っているつもりで、自分のなかで納得した支払いなのだ。

だから周りに合わせるためという理由に500円は払いたくないのである。

仕事から帰り、家計簿にバナナジュース¥500と書き込んだ。